コラム
■販促の職人、はんこ屋ケンちゃんの儲かるネタ帖

第2回目 「行き当たりばったりで、広告を出す。」

今回のトピックは、行き当たりばったりで、広告を出す。と、言うことですが文字通り行き当たりばったりでよいのです。

私たち中小零細企業には、広告予算は限られています。とにかくお金が無いのでなるべく出費は抑えようと言うことになります。
損はしたくないから、失敗したくないから、「いい広告」を作ることが出来たときとか、完全に儲かると確信出来たものにだけ、投資する(お金を払う)ことにしよう。

と、なりがちです。

実はこの考えこそが、「儲けるチャンスを閉ざしてしまう」というお話です。



「失敗」することは、決してマイナスだけではありません。
「失敗」は、経験となり経験は次への成長への「糧」になるのです。

しかし、何もしなければ、「失敗」もない代わり、現状は何も変わりません。

良くて現状維持です。
今のような急速に環境が変化するような時代、現状維持は後退と同じということになってしまいます。


あなたの「商売」を誰か(=お客様)に、知ってもらいたければ「広告」することは不可欠です。

だからといって、いきなり何十万円もかけて、新聞や雑誌広告を打てと言っているのではありません。
世の中には、無料とか数千円とかの安い広告もあります。
そのようなものから試験的にを実施して、反応を見ながら広告量を増やして行く方法をオススメします。

このような方法なら、「行き当たりばったり」で投資したとしても、失敗して会社が傾くと言うことはありません。

かく言う私の場合も実は、この行き当たりばったりで広告を出し、安定収入に到達したという経験があるのです。

私どもの新規客獲得に最も貢献している、ある広告のお話です。




サラリーマンからFCを使って開業というのはよくあるケースだと思いますが、私の場合も「商売」の経験が無く、FC本部へ高額の加盟金を支払い、「成功パッケージ」を購入したつもりでした。

「儲ける方法」は、本部が全て知っていると、思っていたのです。
なので開業当初から、本部の言いなりに何十万円もの資金を投入し、チラシを打ちました。
それが、当たり前だと言われていたからです。

「認印1本48円」とか、「象牙実印9800円」とかの当時はびっくりするような価格を打ち出し集客したのです。
しかし、飛ぶように売れたのは原価割れの「認印48円」だけ。

もの珍しさで集まっていた近所の人たちも日に日に遠のいてゆき、新規開店から1週間もすると、店は閑古鳥が鳴くという状況になりました。

FC本部の社長に相談しても「チラシを作ってポスティングをしなさい。」それしか言いません。
開業からの数ヶ月はほとんど毎日、営業終了後にチラシを印刷し、近くのビルやマンションへポスティングする日々が続きました。

もちろん「0」ではありませんが、思ったような結果にはなかなか結びつきません。

とうとう店舗の家賃が払えなくなり、開業からちょうど1年で、当初営業していた店を閉めることになりました。

「店舗」を構え、「いい商品」を揃え、びっくりするような「低価格」で販売していたのですが、必要な物でなければお客様には見向きもしてもらえない。
そのことを痛感させられました。


その苦境を救ってくれたのは、「電話帳広告」でした。

それまでの広告は、「折り込みチラシ」「ポスティングチラシ」のほかに、「夕刊紙」や「司法書士向け業界紙」などにも広告を掲載しました。しかし、どれも思うような成果は見られません。

唯一、費用対効果が良かったのが、「NTTのハローダイヤル」でした。
インターネットが今ほど普及していなかった頃で、「8600」をダイヤルすると、オペレーターが出て、近くの店舗を案内してくれるというサービスでした。テレビで中井貴一がCMをやっていましたので、記憶されている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
このシステムでは、月5000円の投資で、数件の顧客が獲得出来ていました。
正直、安かったからやっていた広告です。

その流れで、NTTの営業マンが売り込みに来て、電話帳広告も申し込んでいました。
ただ、電話帳の発行は年に1度なので、広告申し込みから、掲載誌の発行までに半年以上かかります。

その時は、まさか1年で店を閉めることになるとは、思ってもいなかったので、軽い気持ちで、つまり行き当たりばったりで、申し込みをしていたのです。

いざ、店を閉めることになったとき、この電話帳広告の支払いがとても苦痛だったと記憶しています。
広告会社にキャンセルを言いましたが、もう印刷の準備に入っているので無理と言われました。
店が無くなるのに、広告費を払うのかと思うと、とても辛いです。

掲載内容は変更出来ると言うので、それなら広告掲載中の1年間は、無店舗でがんばって見よう。ダメならサラリーマンに戻ればいいやという、開き直りのような形で、商売の継続を決めたのです。

それで、近くに住んでいた兄のマンションの1室を借りて、「無店舗販売」を開始したのですが、それまでほとんど仕事がなかったのが、電話帳発行の次の日から、事務所の電話が鳴り出したのです。

最初、なぜ電話が鳴り出したのか、解らなかったのですが、それが「電話帳」のお陰だということはすぐに解りました。
その日を境に、電話の鳴らない日は無くなったのです。

店舗を構え、大きな看板を出し、高額の家賃を支払い、もの凄い経費を使って、やっと売り上げていた金額を、電話帳広告だけの営業で、無店舗のマンションの1室という環境で達成したとき、いったい今まで何をやっていたんだろうと複雑な気持ちになりました。

何もがんばっていません。ただ、広告を載せただけです。
ポスティングも、外回りも、する時間すら無くなってしまったのです。

その日から、今日まで。
新規のお客様は、ほぼこの「電話帳広告」が連れて来てくれました。

だから、あなたにも「電話帳広告」を出しましょう。
そんなことを言うつもりはありません。

私のような業種の場合、だからこそお客様は「電話帳」に居たのです。
でも、あなたのお客様が「電話帳」に居るとは限らないと思っています。

例えば、飲食店のような職種なら、電話帳などより、「グルメ雑誌」や「タウン情報誌」のようなところ居るかも知れません。学習塾とかなら、学校関係の「何か」にお客様が居そうですね。

業種や、ターゲットとするお客様によって、広告を出す「場所」は変化して当然です。

ぜひ、あなたのお客様が居るところに、広告を出して下さい。

でも、あなたのお客様がどこに居るのか、すぐにわからないという場合もありそうですね。
だからと言って、指をくわえていても、何も始まりません。

そういう時はどうすればいいか。

もう、お解りですね。そう、小さいところから、順々に「行き当たりばったり」で、広告を出して見て下さい。反応があったところに、徐々に大きな投資をして行けば良いのです。



では、次回はどこに広告を出すべきか、あなたのお客様の居場所の見つけ方について、お話させていただきます。
【著者プロフィール】
【著者プロフィール】
本名:柏木健児
職業:はんこスーパー船場
在住:和歌山県
昭和36年三重県伊勢市生まれ。
大阪市、奈良県生駒市、桜井市などで幼少期を過ごし、大手消費者金融に15年勤務、36歳で退職し、はんこスーパーFCに参加して独立を果たす。
が、予測を大幅に下回る売上に開業当初から経営危機に瀕する。そのため独学でFC本部に頼らない販売戦略を考案し、店舗業態を物販から販促物提案型店舗に大幅変更し、急成長を遂げる。
広告の現場監督を自認していて、名刺仕掛人の異名もとっている。
ホームページは http://meisi.ikora.tv
お問い合わせは wakayamains@ybb.ne.jp
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